限られた空間で終始物語が展開するワンシチュエーション映画のうち、近年の作品を中心に至高の10作品を紹介します。
『THE GUILTY/ギルティ』
『THE GUILTY/ギルティ』2018|デンマーク|スリラー
監督:グスタフ・モーラー
主演:ヤコブ・セーダーグレン
緊急通報指令室のオペレーターである警察官のアスガーは、誘拐された女性から通報を受け、電話越しに事件解決を試みるが……というデンマーク発の世界的にも評価の高い映画です。「緊急通報指令室」というワンシチュエーションで、電話越しの切迫した声や周囲の音だけを頼りに、解決の糸口を探す緊張感が終始途切れずに、ヒリヒリした展開に圧倒されるはず。また、アスガーは思いがけず自分の過去とも向かい合わなければならず、重層的にテーマが盛り込まれており、ワンシチュエーションでありながら深みのある内容で、非常におすすめの作品です。
ちなみに、作品の秀逸さ、評価の高さによって2021年にはハリウッド版リメイクが公開されています。しかも!監督がアントワーン・フークア(『トレーニング デイ』ほか多数)、主演がジェイク・ジレンホール(『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ほか多数)という超豪華なタッグ。こちらもハリウッドらしい作りになっていて楽しめます。
Netflixリメイク版『THE GUILTY/ギルティ』はこちら
『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』
『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』2013|イギリス・アメリカ|スリラー
監督:スティーヴン・ナイト(『ピーキー・ブラインダーズ』)
主演:トム・ハーディ(『マッドマックス 怒りのデス・ロード』)
愛する妻と2人の子供を持つ建築現場監督のアイヴァン。いつも通り仕事を終えて夜のハイウェイを運転していると1本の謎の電話が掛かり……という、最近のワンシチュエーション作品の代表格といえる映画です。画面に映るのは運転する主人公、音声は電話のみという究極のワンシチュエーションですが、車中の86分の出来事がリアルタイムで展開されることも相まって、たった1本の電話を機に、突然人生が一変するという圧倒的な緊張感を味わうことができます。主演のトム・ハーディも圧巻の演技でした。
『フォーン・ブース』
『フォーン・ブース』2002|アメリカ|サスペンス
監督:ジョエル・シュマッカー(『バットマン フォーエヴァー』『セント・エルモス・ファイアー』)
主演:コリン・ファレル(『マイアミ・バイス』)
敏腕メディア・コンサルタントのスチュは、NY・ブロードウェイの電話ボックスで鳴り響く電話を何気なく取ってしまい、電話越しに「電話を切ったらお前の命はない」と告げられ……。電話ボックスの中だけのワンシチュエーションで繰り広げられるノンストップ・サスペンスです。コリン・ファレルの迫真の演技や、都会の日常と異様な電話ボックスの中との落差など話題となった秀作です。若干古い作品ですが、今見ても楽しめます。コリン・ファレルの出世作。
『SAW ソウ』
『SAW ソウ』2004|アメリカ|サイコスリラー|SAW
監督:ジェームズ・ワン
主演:リー・ワネル
「ジグソウ」でお馴染み、説明不要の大ヒット作品。猟奇殺人鬼ジグソウによって密室に閉じ込められた二人の男が、「ゲーム」と称された残酷な生き残り合戦を始めるが……。緻密でギミックの効いた展開、インパクトのある描写など、目が離せない展開だらけ。大ヒットを受けその後、シリーズ化されているほど。ワンシチュエーション映画といえばこの作品が名前があがるほどの名のある作品。グロが苦手でなければ見ていて損はありません。
『[リミット]』
『[リミット]』2009|スペイン・オーストラリア|サスペンス・スリラー
監督:ロドリゴ・コルテス(『レッド・ライト』)
主演:ライアン・レイノルズ(『デッドプール』)
《ゴヤ賞最優秀脚本賞受賞作品》イラクで働くアメリカ人のポール・コンロイ。突然襲撃を受けて、目覚めると脱出不可能な土の中。所持品は携帯電話と最低限の小道具だけ。という究極の密室空間・ワンシチュエーション映画。タイムリミットが迫る中、いかに脱出するかというワンシチュエーション好き、スリラーファンにはたまらない展開です。主演はのちに『デッドプール』などで大人気俳優となったライアン・レイノルズ。
『127時間』
『127時間』2010|アメリカ・イギリス|サバイバルスリラー
監督:ダニー・ボイル(『スラムドッグ$ミリオネア』)
主演:ジェームズ・フランコ
《登山家アーロン・リー・ラルストンの自伝『奇跡の6日間』原作》登山家のアーロンは一人険しい谷にロッククライミングに行くが、滑落してしまい身動きが取れなくなり……という衝撃の実話を映画化した作品です。実話ベースということもあり、サバイバル要素強めのリアルな脱出劇が楽しめます。谷間のワンシチュエーションが一層自然の脅威やドラマのある展開を感じさせられる作品。
『フローズン』
『フローズン』2010|アメリカ|ホラー・パニック・スリラー
監督: アダム・グリーン(『ヴィクター・クロウリー/史上最凶の怪人』)
出演:パーカー・オニールほか
日暮れのスキー場で3人の若者がリフトに乗り込むが、その途中で突然停止してしまう。リフトに取り残された3人は助けを求めるも自然の猛威が容赦なく襲いかかる……。『127時間』同様、あるハプニングから自然の脅威に晒されるスリラーものです。雪山、極寒の環境がなんとも痛々しく、『127時間』以上にリアルに起こりうる可能性を感じさせる、技ありのシチュエーションです。ただし展開はやや大味です。
『4×4 殺人四駆』
『4×4 殺人四駆』2019|アルゼンチン・スペイン|犯罪スリラー
監督:マリアノ・コーン(『笑う故郷』)
主演:ピーター・ランサーニ
車上荒らし犯が車に閉じ込められ必死で脱出しようとするが、思いもよらない状況が重なり……。というこちらも車の中というワンシチュエーションの映画です。ただしスリラー要素が強くテンションはMAX。次から次におこるハプニングに息つく暇もなく物語は推進するので、ただただ頭をスッカラカンにして楽しみたいという欲求を満たしてくれます。なお、実際の出来事をベースにした作品だそうです。
『崖っぷちの男』
『崖っぷちの男』2012|アメリカ|アクション・スリラー
監督:アスガー・レス
主演:サム・ワーシントン(『ターミネーター4』)
純粋なワンシチュエーションではないですが、『崖っぷちの男』もご紹介。元警察官の脱獄犯ニックは、地上60メートルのホテルの窓枠を超えて、幅わずか35cmの壁の縁に立ち、ある要求をするが……。というまさに「崖っぷちの男」の不可解な行動と、予測不能な展開が楽しめるノンストップスリラーです。中だるみのない緻密でタイトな展開が続く秀作です。ワンシチュエーション好きなら楽しめるはずです。ぜひ!
『オキシジェン』
『オキシジェン』2021|フランス|SF・サスペンス・ヒューマン
監督:アレクサンドル・アジャ
主演:メラニー・ロラン
Netflixで公開されたSFサバイバル映画です。女性が目を覚ますとそこは医療ユニットの中。自分が何者で、なぜこの状況下にいるのか、一切の記憶がなく、閉じ込められていることに気がつきます。高度に発達したAIに助けを求めることになるが…….。という典型的なワンシチュエーション映画です。Netflixらしい美しい面作りが特徴的で次々にピンチがおとづれて、息がつまるハラハラな展開が楽しめます。多少の荒さやツッコミどころもありますが、Netflixユーザーかつワンシチュエーション好きならぜひどうぞ。
以上、おすすめの究極のワンシチュエーション映画作品でした。日常で起こり得る環境・状況を題材にしている作品も多く、斬新な展開にただただ没頭して楽しませてくれる愛すべきジャンルです。ワンシチュエーションものはこのほかにも数多く製作されているので、ぜひチェックしてみてください。
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